浴衣の色のあわせ①
浴衣をはじめとする和装の楽しみのひとつに色のあわせがある。
古典的な浴衣には、紺地と白地が多く見られるが、これは、暑い日本の夏を快適に過ごすための工夫のあらわれなのだ。
白地の浴衣は昼用で、家の中で着ると真夏でも涼しく過ごせる。
紺地の浴衣の場合、紺色に染めるために使われている「藍」の香りを虫が嫌うことから、虫の多く出る夕方から夜にかけて着用するのが良いとされていたのだ。
こうした機能的な色のあわせ以外にも、日本には伝統的にかさねの色目というものがある。
かさねの色目とは、平安時代から鎌倉・室町時代の貴族の装束の色のことで、植物の花や実や根から「色素」を汲みだして絹などを染めあげた「染織物」の色のことを指す。
浴衣の色のあわせ②
「かさねの色目」は着物に使われる色のあわせだが、浴衣も夏用の着物なので、夏の重ねの色目が浴衣の色をあわせるときのよい参考になる。
夏のかさねの色目のベースはさわやかな青と白である。
菖蒲(しょうぶ)
:菖蒲は、青(青)・薄青(薄青)・白(白)をベースにした青みの際立つさわやかな色のあわせだ。
躑躅(つつじ)・撫子(なでしこ)
:躑躅(つつじ)・撫子(なでしこ)は、青と白に紅をあわせたもので、クールな爽やかさの中に紅がまざることで華やかさが加えられる。
牡丹
:牡丹は、淡蘇芳(白)をベースにした生絹。
杜若(かいつばた)
:淡紫(淡紫)・薄色(薄色)・青(青)・淡青(淡青)・紅をあわせたもので、大人の艶めきを演出できる。
女郎花(をみなべし)
女郎花は、縦糸が黄色、横糸が青の織物で全体として緑色がかった黄色になる。